現代の匠たち 藝能と工藝の饗宴2024

開催概要

開催日時

令和6年9月22日(日・祝)

場所

観世能楽堂(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下3階)

入場料

全席指定
SS席14,000円、S席13,000円、A席10,000円

主催

一般社団法人TAKUMI-Art du Japon

協力

公益社団法人日本工芸会

一般社団法人茶道文化振興会 茶道会館

テーマ

「和」

開催に寄せて

 合理性を武器として、自然に手を加えながら高度な文明を達成してきた人類が、それに見合うだけの自己統制、人格陶冶を成し得ていないことは明らかです。世界がますますテクノロジーと金融の奔流に流されるばかりの今、誰もがもっている自然や他との調和を求める心情を現実世界に取り戻す努力は、いま行わなければ手遅れになるでしょう。こうした目的で始め、今回5回目を迎える「現代の匠たち~藝能と工藝の饗宴~」のテーマとして、「和」以上時宜を得たのものはありません。

 冒頭のシンポジウムでは、本公演の発起人3名<室瀬和美氏、大倉源次郎氏、近藤誠一>による趣旨解説に続き、「和」を主題にしたトークを安藤邦廣氏(筑波大学名誉教授、里山建築研究所主宰)をお招きして実施します。

 公演では、都一中氏(一中節宗家 十二世)による一中節『用明天皇道行』、中村梅彌氏(日本舞踊中村流八代目家元)による日本舞踊 東明流『梅』、そして2023年に人間国宝に認定された金剛永謹氏(金剛流二十六世宗家)による能楽 舞囃子『雪』をお届けします。

 また人間国宝による伝統工藝作品の特別展示も企画しています。

 それぞれの分野において「和」がどのように扱われているかを探りながら、日本人にとっての「和」の真髄の一端なりとも感じて頂ければ幸いです。

一般社団法人TAKUMI-Art du Japon代表理事(元文化庁長官)
近藤誠一

演目

出演予定者(敬称略、順不同)

安藤邦廣

筑波大学名誉教授
里山建築研究所主宰

プロフィール

一般社団法人日本茅葺き文化協会代表理事
一般社団法人日本板倉建築協会代表理事

1948年宮城県生まれ。
九州芸術工科大学芸術工学部環境設計学科卒業
東京大学工学部助手を経て筑波大学教授。2013年〜筑波大学名誉教授。
茅葺き民家と板倉に関する研究に取り組む一方で、それに基づくデザインや技術開発に取り組む。あわせて茅葺き職人や大工職人の育成にも取り組む。

受賞

  • 日本建築学会賞(論文)「小屋と倉」
  • 日本建築仕上学会賞(作品賞)板倉構法の木造仮設
  • 日本造園学会賞(技術賞)筑波山梅林再生プロジェクト
  • 住宅総合研究財団 清水康雄賞

著書「日本茅葺き紀行」「小屋と倉」「民家造」「住まいの伝統技術」「茅葺きの民俗学」他

板倉構法による設計

  • 鳴子こども園
  • AGRICAREGARDENかすみがうら
  • 東日本大震災板倉の応急仮設住宅
  • その他板倉構法による住宅

民家の再生設計
越後妻有大地の芸術祭うぶすなの家

室瀬和美

人間国宝 蒔絵

大倉源次郎

人間国宝 小鼓

近藤誠一

一般社団法人TAKUMI-Art du Japon代表理事(元文化庁長官

公演

一中節 『用明天皇道行』

都一中(一中節宗家 十二世)

作 詞 近松門左衛門
作 曲 初世 都一中
浄瑠璃 都了中
三味線 都一中

都一中プロフィール

常磐津節を父初世常磐津文字蔵、四世常磐津文字兵衛、常磐津菊三郎に師事、長唄三味線を田島佳子、長唄を皆川健に師事、音楽学を小泉文夫に師事、一中節を十一世都一中に師事、東京芸術大学音楽学部中退、1985年文化庁芸術作品賞受賞
1986年 歌舞伎座の常磐津節立三味線(主席奏者)に昇格
1990年 公益財団法人清栄会 奨励賞受賞
1991年 十二世都一中襲名、一中節宗家継承
1999年 重要無形文化財一中節(総合指定)保持者認定
2008年 重要無形文化財常磐津節(総合指定)保持者認定
2014年度 日本芸術院賞受賞
2023年 重要無形文化財日本舞踊保持者認定
ドイツ、オーストリアなどの国際音楽祭に招聘され演奏会を行う。
ニューヨーク及びボストンのジャパンソサエティーに招聘され、米国東海岸各都市で演奏会を行う。
そのほか、M.I.T.、イェール、ウェスリアン、コロラド、北京、などの各大学、バークリー音楽院にて講演と演奏を行う。
都一中音楽文化研究所理事長、一般財団法人古曲会評議員、常磐津協会理事、一中節都会主宰、常磐津百閃会主宰。
一中節宗家十二世都一中として、古典の中の古典といわれる一中節の高度に洗練された美意識を継承し、門弟の指導にあたりながら、現代の最先端の感性の要求に応える演奏活動を国内外で展開。未来へ向かっての日本の音楽芸術の進むべき道を追求している。
二世常磐津文字蔵としては、常磐津節の所作事浄瑠璃としての特徴を生かし、舞踊とともに江戸の文化のゆかしさを現代に体現し、常磐津のみの演奏においても、新しい価値の創造に取り組んでいる。

都了中プロフィール

幼少の頃より、日本の伝統音楽である一中節を父、及び先代都一中について稽古を始める。1997年 都了中の名を許される。2002年 福井県武生国際音楽祭に招待される。2006年9月~2007年3月 ACC(Asian Cultural Council)のフェローシッププログラムにてニューヨークに滞在。2009年より演奏会「都了中の会」を主催。2015年 国立劇場主催「明日をになう新進の舞踊・邦楽鑑賞会」に選出。2019年 一中節 都派 家元を継承。演奏会・舞踊会に於いて浄瑠璃方を務め、国内と共に海外(ベルリン・ニューヨーク・サンクトペテルブルク・上海など)での公演に出演。演奏活動の他 浄瑠璃指導、講演など一中節の発展に務めている。

本年の御歌会初めの御題「和」に因み、「和を以て貴しと為す」を第一条として十七条の憲法を定めた聖徳太子の父君、用明天皇を主人公とした曲を選びました。用明天皇は仏教に帰依しながらも日本古来の神々を祀る祭祀の中心としての務めを怠らず、すべての宗教を受け入れる日本人の根源的な宗教観の礎となった天皇です。

内容は、豊後の国へ帰ってしまった寵愛した女官を慕って、用明天皇がただ一人、民の姿に身を変えて彼女に会いに行く旅を描いた物語です。曲の最後の言葉は、「十善帝位の恋慕の闇、なんと照さん日の本の、深き恋路の鑑なるはと、感ぜぬ者こそなかりけれ」と結んでいます。この部分の初代都一中の節付けには「たとえ忍んで彼女に会いに行く場合でも、天候も含めあらゆる偶然が味方して、国政になんの滞りもなくすべて順調に事が運ぶようなすぐれた徳を持っている者でなければ、真の国のリーダーたる資格はない。」つまり「真のリーダーになることを志すならば、偶然をもコントロール出来るような間のよさを一中節の稽古によって身につけて欲しい」という強いメッセージが感じられます。 曲の聴き所は、大物の浦から船に乗って行く用明天皇が、穏やかに晴れた美しい瀬戸内海の景色を楽しむ様子と、やがて追い風が吹いて船の速度を増し瞬く間に豊後の港へ着く、勢いの乗ったスピード感のある音楽の運びにあります。

日本舞踊 東明流『梅』

中村梅彌(日本舞踊中村流八代目家元)

唄 東明詠舟 東明青舟
三味線 東明吟翔 東明吟虎
琴 川瀬露秋
囃子 藤舎千穂 福原徹秋

中村梅彌 プロフィール

日本舞踊中村流八代目家元。父である七世中村芝翫、二世藤間勘祖に師事。
中村光江として長年活躍した後、平成22年に祖母の芸名であった中村梅彌を2代目として襲名。平成24年七世中村芝の遺言により中村流八代目家元を襲名。弟九代目中村福助、八代目中村芝、甥六代目中村勘九郎、二代目中村七之助らの歌舞伎公演の構成振付を担当するほか、歌舞伎・日本舞踊・映画・テレビ等の所作指導や構成、振付を担当し活躍している。
又日本舞踊を広く知ってもらう為のワークショップ「梅の手習ひ」の主催や、文化庁主催の日本舞踊小・中学校巡回公演の企画制作等にも尽力して日本舞踊の普及啓蒙に努めている。
又、日本が主催しフランスで開催された「ジャポニズム2018」にも参加し、長唄「藤娘」を上演し好評を博した。
さらに(公社)日本舞踊協会理事、重要無形文化財指定日本舞踊保存会の会員として、日本舞踊の啓蒙発展の為の様々な事業を担当して存分にその力を発揮している。
日本舞踊への様々な貢献に対して、日本芸術院賞、文化庁芸術祭優秀賞、舞踊批評家協会新人賞等多数を受賞している。代表作「鐘の岬」「太閤桜」「梅の栄」「夏 魂まつり」等多数上演。

明治三十年代半ばに平岡吟舟(ひらおかぎんしゅう)(本名は熙)が創始した東明節(昭和三年[一九二八]に東明流と改称)の代表曲で、吟舟の次女・初世東明柳舟の作曲による、華やかな中にも女性らしい繊細で品の良い趣がある作品。作詞は初世柳舟の夫で茶人の高橋箒庵。

〽九重に」で御所に咲く梅に始まり、〽春まだ浅き」で山里の梅、菅家の歌に」で菅原道真の「東風吹かば・・・」の和歌を挟み、各地の天満宮の梅、〽梅の名所は」で奈良の月ヶ瀬の梅林、〽面白や南枝花開いて」で花の兄と呼ばれた梅を讃えて終わる。「南枝」とは菅三品(道真の孫・菅原文時の通称)の七言絶句の中の「露暖南枝花始開(露暖かにして南枝に花始めて開く)」に拠る。

東明流は二世藤間勘祖が好んだ曲として知られている。

令和六年の御歌会始にて、お題である「和」にちなみ、三笠宮家彬子女王様が詠まれた句から、この演目を選びました。 「道真公遷られたまふ御祭りに頬にふはりと和風の吹く」

能楽 舞囃子 「雪」

シテ 雪の精 金剛永謹(能楽 金剛流二十六世宗家、人間国宝)

笛 藤田貴寛
小鼓 大倉源次郎
大鼓 安福光雄
地頭 金剛龍謹
地謡 宇髙竜成 坂本立津朗 元吉正巳

金剛永謹 プロフィール

1951年、二十五世宗家金剛巌の長男として京都に生まれる。幼少より、父・金剛巌に師事。1998年9月能楽金剛流二十六世宗家を継承する。2003年5月金剛能楽堂を京都御所の西向かいに移転、竣工。
「舞金剛」と呼ばれる華麗で躍動感溢れる金剛流独特の芸風に、「京金剛」といわれる優美で雅やかさが加わった芸風を特徴とし、シテ方五流宗家の中で唯一関西を本拠地とする。
金剛流第一回の海外公演であるカナダ・アメリカ公演団長を皮切りに、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ロシアなどでの海外公演も多数行う。
京都市芸術新人賞、京都府文化賞新人賞、京都府文化賞功労賞受賞。京都市文化功労者表彰。第67回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2018年紫綬褒章受章。
令和4年度恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2023年重要無形文化財「能楽」各個指定保持者(人間国宝)認定。フランス芸術文化勲章オフィシエ受章。
公益財団法人金剛能楽堂財団理事長。一般社団法人日本能楽会会長。
一般社団法人金剛会代表理事。一般社団法人金剛能楽会代表理事。
京都市立芸術大学客員教授。
著書に『金剛家の面』、『金剛宗家の能面と能装束』がある。


人間国宝作品 特別展示

金口銅花瓶「焰」
大角幸枝(人間国宝 金工(鍛金))

作品紹介
色金を駆使した金工は日本独特のものであるが、黄金色と銅の赤の取り合わせは、とりわけ美しく華やかで気に入っている。不思議なことに色揚げの際、銅は金がそばにあると一段と濃い赤に発色する。鎬を打ち出した細口花瓶に鍛金成形した金(K18)の口を鑞付けし、燃え立つ焔を表現した。

大角幸枝プロフィール

1969年 東京藝術大学美術学部芸術学科卒業 卒業後 鹿島一谷、関谷四郎、桂盛行に師事する
1986年 第33回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞
1987年 第34回日本伝統工芸展 日本工芸会総裁賞
1988年 文化庁芸術家在外研修員として英国に1年間派遣される
1991年 第1回香取正彦賞 第4回MOA岡田茂吉賞展 優秀賞
1998年 第28回伝統工芸日本金工展 日本工芸会賞
1999年 第29回伝統工芸日本金工展 東京都教育委員会賞
2009年 第56回日本伝統工芸展 日本工芸会保持者賞
2010年 紫綬褒章受章 第17回岡田茂吉賞展 MOA美術館賞
2014年 第61回日本伝統工芸展 日本工芸会保持者賞  第1回米国立スミソニアン協会客員作家に選定される
2015年 重要無形文化財保持者(鍛金)認定
2016年 黄金有情-金工のものがたり」出版(里文出版)
2017年 旭日小綬章受章

彩変化花器‘24
藤塚松星(人間国宝 竹工芸)

作品紹介
従来の竹の作品に無い、モダンな形の作品創りを心掛けています。 この作品もその中の一つで、直線の構成によるシャープな形と、△ヒゴの面を2色に染め分けることによって生じる色の変化の面白さを狙っています。 どうぞ、見る角度を変えてご覧になってください。

藤塚松星プロフィール

昭和47年 竹芸作家・馬場松堂に師事
平成3年 第38回日本伝統工芸展初入選
平成5年 第40回日本伝統工芸展 東京都知事賞受賞(同23年) 正会員に認定
平成6年 第6回伝統工芸木竹展 文化庁長官賞受賞
平成21年 第56回日本伝統工芸展 奨励賞受賞
平成22年 第57回日本伝統工芸展鑑審査委員(以後審査委員を含め5回)
平成24年 紫綬褒章受章
平成29年 第16回伝統工芸木竹展 文部科学大臣賞受賞
令和元年 第39回伝統文化ポーラ賞 優秀賞受賞
令和5年 重要無形文化財『竹工芸』保持者に認定

長板中形着尺 萩文(部分)
松原伸生(人間国宝 長板中形)

作品紹介
木綿地に表裏両面から同じ型紙で糊を置いて藍甕に浸して染める、浴衣染めの古称とも言える「長板中形」です。 藍と白のコントラストが特徴の夏の衣裳。最近では浴衣としてだけでなく、単衣の着物としてお召しいただくことが多くなりました。  

松原伸生プロフィール

1965 東京生まれ
1984 都立工芸高等学校デザイン科卒
2009 日本伝統工芸展 新人賞
2014 日本伝統工芸展 高松宮記念賞
2018 伝統文化ポーラ賞 優秀賞
2020 日本伝統工芸展 日本工芸会保持者賞
2021 紫綬褒章受章
2023 重要無形文化財「長板中形」保持者認定 現在 公益社団法人日本工芸会正会員・副理事長  千葉県美術会常任理事

チケット

全席指定
SS席 14,000円
S席 13,000円
A席 10,000円

観世能楽堂 

ネット予約 https://kanze.net/
(チケットはコンビニ発券) 
販売期限:3 日前23:59まで

電話でのご予約 観世能楽堂事務所:03-6274-6579

詳しくは、観世能楽堂 チケット購入方法をご覧ください。

チケットぴあ

Pコード:528830
http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2430564

※ 残席がある場合に限り当日券を会場にて販売します。
※ 車いす席をご希望の場合は主催者までご連絡ください。

同時開催イベント

第71回日本伝統工芸展特別ツアー
人間国宝による生解説で工芸の技と粋を知る

解説:大角幸枝(人間国宝、金工(鍛金))
日時:9月17日(火)14:00~15:00
会場:日本橋三越本店
費用:5,000円/人
定員:20名/回
受付期間:~9/16

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